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小児のてんかん / 全般発作まとめ part1 寝てる時にビクってなるやつ!

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小児のてんかん / 全般発作まとめ part1 【特発性】

こんにちは! tamakiです:)

けいれん・てんかんについてまとめてきましたが、今回が最終章となります。!

こちらの各論を読む前に、第一章と第二章の総論にも目を通しておくことをオススメします!

そして、全般発作については"特発性"と"症候性"とで二部にわけて解説していきます!

全般発作の各論

”特発性”全般発作
・良性新生児家族性てんかん
・良性新生児てんかん
・乳児良性ミオクロニーてんかん
・若年ミオクロニーてんかん
・小児欠神てんかん(ピクノレプシー)
・覚醒時外発作てんかん
”症候性”全般発作
・ウエスト症候群
・レノックス・ガストー症候群
・ミオクロニー失立発作てんかん
・ミオクロニー欠伸てんかん

 


 

全般発作

全般発作
・ 脳の大部分または全体が興奮している状態
・ 多くが意識障害を伴う

 

二次性全般発作
・ 脳の一部から始まった電気的興奮がニューロンの集まった場所を通じて脳前に広がる → 強直間代発作

 

全般発作は上記のように脳全体で電気信号に異常が生じる状態でしたね。

今回も”特発性”と”症候性”にわけて解説していきます。

 


 

”特発性”全般発作

"特発性"というだけあって、前提として"原因が不明"の疾患となります。

良性新生児家族性てんかん

良性新生児家族性てんかんは、 "常染色体優性遺伝"による遺伝性の疾患です。 名前に"家族性"とついているので想像はつきますよね。

常染色体優性とはざっくりいうと、高確率(50%以上)で親から子へ遺伝するということですね。

ちなみに遺伝性ではなく、個人として発症する可能性は100,000人の出産あたり14人で発生すると報告されています。

この疾患の本質は神経細胞内の電解質の伝達に重要な働きをきたしている"チャネル"という部分に異常をきたすことがわかっています。ほとんどの場合が電位依存性Kチャネル遺伝子に変異があります(KCNQ2およびKCNQ3)。

2つのタイプ
① EBN1症候群
・ 頻度が多い
・ 染色体20qが欠損
・ KCNQ2と呼ばれる電位依存性Kチャネルに異常がある
 

② EBN2症候群
・ 頻度が低い
・ 染色体8q24が欠損
・ KCNQ3と呼ばれる電位依存性Kチャネルに異常がある

 

家族性に遺伝するものなので、遺伝子検査が可能です。

臨床的特徴

・ 限局性~広範性に間代性または強直性のけいれん発作
・ 発作以外に神経学的異常なし
・ 生後 数日から1週間以内に発生する(多少ばらつきあり)
・ 発作は通常短時間
・ 乳児期初期には自然に治癒するが、生後2〜3か月まで続くことがある
・ 発作がないときの脳波は正常

治療と予後

・ 新生児の急性発作と同じように対応する(別途まとめる予定)
・ 予後は良い(多くが生後6週間以内に自然に治まる)
・ 基本的には長期治療管理は必要ない
・ 発作が長引くときはカルバマゼピンを使用することがある


また似たような疾患で"良性家族性てんかん"というものがありますが、こちらも "常染色体優性遺伝"による遺伝性の疾患です。

発作症状は生後約6か月程度から始まります。 正常な乳児の無熱性発作を特徴としていて、発作は通常2歳までに緩和されてきます精神運動の発達は正常です。なので予後は良好です。

一部の患者と家族では、思春期または成人期に発作性運動誘発性ジスキネジアが発症します。 これは染色体16pのPRRT2に遺伝子変異があることがわかっています。(第16番目の染色体に異常があると思っていただければokです!)

 


 

良性新生児てんかん

臨床的特徴

・ 発作は生後7日以内に発生する
・ 90%が4日目から6日目に発生し、通常2週間以内に回復する
・ 多くが5日で出るため"5日発作"とも呼ばれる
・ 遺伝性ではない
・ 妊娠経過~分娩に全く問題がない正期産または後期早産児に起こる
・ 発作症状以外に神経学的異常はない
・ 発作様式は多くが単発性の間代発作
・ たまに無呼吸発作もある
・ 発作がないときの脳波は正常

診断

・ 診断は基本的には除外診断である
→ 他に疑わしい疾患がないときに最後の砦としてつける診断
・ 下記のように提案された診断基準もある
① Apgar score 1分値 > 7点
② 出産から発作発症までの典型的な間隔(4〜6日)
③ 発作以外に神経学的な異常がない
④ 採血や、髄液検査、画像所見で異常がない
⑤ 家族歴がない

治療と予後

・ 新生児の急性発作と同じように対応する(別途まとめる予定)
・ 予後は基本的には良い
・ 最近の研究で一過性の精神運動遅延が報告されている
・ 基本的には長期治療管理は必要ない

新生児のけいれん・てんかん発作時の急性期の対応ついては別途まとめたいと思います!

 


 

乳児良性ミオクロニーてんかん

まず、"ミオクローヌス"とは何かと言いますと、けいれんのように自分の意思とは関係なく筋肉が瞬間的に収縮することを言います。

この瞬間的な収縮によって、持っていたコップを落としてしまったり急に転倒してしまったりといったことがあります。

もう少し身近なところでいうと、僕らが疲れている時に"まぶたがピクピク"したりしますよね?あれも一種のミオクローヌスですし、他には学生時代に机に突っ伏して寝ている時に、身体が『ビクッッッッ!!!』となったことありませんか?あれもミオクローヌスです笑

あれは疲れている時などに一過性に起こるものなので、病的なものではありませんが、"ミオクロニーてんかん"はこれが連続して起こったり、日常生活に支障をきたしてくるものを言います。

乳児良性ミオクロニーてんかんは、生後1~2歳で発症します。

けいれんや、てんかんを起こすことがあり、臨床経過に基づいて、良性か重篤かに分けられます。

名前に"良性"とあるため、多くが良性の経過を辿りますが、一部は精神運動遅滞、発話遅延、および運動失調を伴うことがあります。

現時点で報告されている文献が少なく、情報が少ない疾患です。

 


 

若年ミオクロニーてんかん

若年性ミオクロニーてんかんは、健康的な10代の若者に発症する発作です。

疫学

"特発性"全般発作の25〜30%てんかんの全症例の最大10%を占めています。

男女比は一般的に等しいと考えられていますが、いくつかの研究では 2.9:1 で女性の方が若干多いと報告されています。

発症の平均年齢は15歳で、5〜34歳の範囲で発症します。
患者の大多数は12歳から18歳の間に診断されます。

遺伝性

若年性ミオクローヌスてんかんが遺伝する病気かどうかは不明です。 遺伝しているという報告もあれば、家族内に発症していない人も多いです。

発作様式

・ ミオクロニー発作(100%)
・ 欠神発作(20-40%)
・ 全般性強直間代発作(80-100%)

若年性ミオクロニーてんかんには、上記のような発作様式がありますが、特に特徴的なのは"ミオクロニー発作"です。

ミオクロニー発作だけで終わる人もいれば、そのまま全般性強直間代発作に移行する人もいます。 いずれにしろ、多くの場合はミオクロニー発作からスタートします。

全般性強直間代発作は、ほとんどすべての患者で発生し、これがきっかけで診断につながることもあります。

欠神発作とは、"あくび"が出るわけではありません。
短時間の間、意識障害をきたし、その間は記憶がありません。目を普通に開けており、転倒したりすることもないため、本人も周りも気づかないことが多いです。 なので、欠神発作だけだと、診断が遅れてしまうことが多々あります。

診断

・ 明確な診断基準はない!
・ 脳波で4〜6 Hzの両側性の多棘波(スパイク)を認める
・ 睡眠時検査(夜通し脳波を付ける検査)で100%診断がつく
・ MRI検査は正常であり、診断に必要ない

治療

・ 全般発作を抑える抗てんかん薬を使用する
・ 治療の第一選択はバルプロ酸(有効率80%)
・ 催奇形性のリスクがあるので女性に使う場合は注意
・ 投与期間は長期わたって薬を飲むことが多い

一般的にバルプロ酸が最も効果が高いと言われています。また、その他に初期治療として使われるのはレベチラセタム、ラモトリギン、トピラメートなどがありますが、いずれも補助治療薬という立ち位置で、バルプロ酸が効かなかった場合や、女性が妊娠などを考えてる際に使用される薬です。

女性と子供の問題はとてもセンシティブなことなので、薬の使用の際には、患者さんとしっかりと話し合うことが重要です。

予後

若年性ミオクロニーてんかんは、一般的に生涯にわたる疾患です。
多くの患者が、薬によって発作症状が寛解しても、何年も薬物治療を継続する必要があります。

しかし、ほとんど場合、発作は40年以内に大幅に緩和されるといわれ、5年間症状がなければ、薬の量を減らしていくことができます。

実際、薬で発作が抑えられていれば、その他の生活面は通常の人となんら変わりはありません。

ある長期追跡調査では、「患者の87%が高校を卒業し、70%が結婚しており、、0%が「健康、仕事、友情、社会生活に非常に満足している」と答えているそうです!

 


 

小児欠神てんかん(ピクノレプシー)

健康な子供に発生する最も典型的な発作症状です。

小児てんかんの全体の約12%を占めていて、男女比は女児の方が多いそうです。

発症年齢の中央値は6歳です。 患者の大多数は、4歳から10歳の間に発症します。 子供の最大20%が熱性けいれんの病歴があり、またほぼ半数に家族歴があります。

欠伸発作については上でも少し話しましたが、発作様式を改めてまとめると

発作様式

・ 短時間(平均10秒)、意識障害をきたす
・ 意識障害をきたしているときの記憶はない
・ 目は普通に開けており、転倒したりすることもない
・ 周りからは"ぼーっとしている"とみられる
・ 本人も周りも気づかないことが多い

小児欠神てんかんは遺伝性の疾患と言われていますが、どの遺伝子が原因になるのかは現時点で解明が進んでいません。

成長発達の過程で、発達と知能は正常となりますが、注意欠陥多動性障害(ADHD)などを併存することがあります。

診断

・ 4歳から10歳の間に発症する
・ 特徴的な発作様式がある
・ 脳波所見がある

上記を満たすことで診断に至ります。
脳波では過換気によって発作が容易に引き起こされます。

治療

・ 治療の第一選択薬はエトスクシミド
・ 第二選択薬としてバルプロ酸を使用する
・ ラモトリギンは出産適齢期の女性や上記の治療が上手くいかなかった場合に用いられる

エトスクシミドは約4ヶ月のわたる治療で、半数以上の子供が寛解します

なので予後は良好です。
ほとんどの場合、 発作は第一選択薬の単剤療法によく反応し、思春期前に後遺症なしに寛解します。

 


 

覚醒時外発作てんかん

文字通り、覚醒時に全般性強直間代発作を起こす てんかんですが、こちらの名前は現在は変更されており"全般性強直間代発作のみを示すてんかん"という名前になっています。(ここでは覚醒時外発作てんかんとして扱っていきます)

10歳ごろに起こると言われていますが、解明が進んでいない疾患です。

治療

・ 第一選択薬はバルプロ酸
・ 第二選択薬はゾニサミド、レベチラセタム、ラモトリギン、トピラメートが用いられる
・ 第三選択薬ではクロバザムが用いられる

覚醒時外発作てんかんに対する文献は少ないですが、予後は良好な疾患と言われています。

 


 

今回はここまでです!

次回は"症候性"の全般発作について解説していきます!

では、また:)