小児のてんかん / 全般発作まとめ part2 【症候性】
こんにちは! tamakiです:)
いよいよ、てんかん発作についてのまとめもこれで最後になります!
では、参りましょう!
スポンサーリンク
全般発作の各論
”特発性”全般発作
・良性新生児家族性てんかん
・良性新生児てんかん
・乳児良性ミオクロニーてんかん
・若年ミオクロニーてんかん
・小児欠神てんかん(ピクノレプシー)
・覚醒時外発作てんかん
”症候性”全般発作
・ウエスト症候群
・レノックス・ガストー症候群
・ミオクロニー失立発作てんかん
・ミオクロニー欠伸てんかん
ウエスト症候群
ウエスト症候群は"点頭てんかん"や"乳児スパスム"とも言われます。
乳児期に発症する極めて予後不良なてんかんです。
ほとんどの症例では、発症後早期に精神運動発達の停止・退行を認めるため、てんかん脳症と言われます。 知能障害の軽減には早期より発作を抑制することが重要となります。
多くが"なんらか"の基礎疾患を有するため、画像検査や代謝スクリーニングが重要となります。
発症年齢
小児のてんかん全体の5%ほどを占めます。
罹患した子供の90%は1歳未満で発症します。 発症のピーク発生率(50〜77%)は3〜7か月です。 18か月以降の発症は稀と言われています。
病因としては、低酸素脳症などの周産期脳障害や、脳奇形、結節性硬化症などが基礎疾患として多い。
臨床症状
3つの特徴的な症状をほぼ兼ね備えます。
① スパズム(点頭発作):典型的には上肢屈曲、下肢伸展、頭部前屈、眼球上転する1-2秒のスパズムが5-30秒毎に数分~10分程度繰り返す(シリーズ形成)。入眠後、覚醒直後に多い。
② 精神運動発達遅延・退行:発症後すぐに不機嫌になり笑わないことが多い
③脳波で特徴的なヒプスアリスミアを認める
スパズムとは、筋肉が意図せずに収縮することです。攣縮(れんしゅく)とも言いますが、いわゆる けいれんと同義に扱うことが多いです。
シリーズ形成とは、"一連の流れを何度も繰り返す"ことです。
ヒプスアリスミアとは、脳波の形を表す用語です。 もともとは「リズムが無い状態」という意味で、多くの棘波や徐波が色々な場所から不規則にでている状態です。 印象としては、突然「グチャグチャ」な波形が出てきては治まるといった様子がみられます。
けいれん発作については、わかりやすい画像をお示ししますので参考にしてください。
お辞儀をするように体を曲げる
両腕をバンザイするように振り上げる
TSUNAGUさんのページより引用:https://miraitsunagu.net/infantile-epilepsy/
臨床経過としては、いくつかの段階によって進行状況を分けることができます。
① 初期段階
けいれんは稀に発生し、発生しても比較的軽度です。 もともと正常であった乳児でも、突然の発達退行が始まることがあります。
② 第2段階
ここが最も深刻となります。 けいれんの頻度が増加し、一連または複数の症状が集団となって出現します。 活動がピークに達すると、24時間の間に数百ものけいれんが発生する可能性があります。発達の後退または遅延は、この段階が最も顕著に現れます。
③ 第3段階
けいれんの頻度がやや減少してきます。けいれん以外の他のてんかん発作が現れることがあります。
診断
診断には脳波が必須となります。
また、診断とは関係ありませんが、多くが症候性に起こるため、頭部MRIやCTなどで原因検索を行うことも重要となります。
寝起き、寝入りに多いため入眠-覚醒のタイミングで脳波を計測することが重要です。一番確実な方法は24時間通して、脳波をチェックする方法もあります。所見としてはヒプスアリスミアを認めます。
発作が起こったタイミングで頻脈性の不整脈をきたすことがあります。 こちらは臨床経過の初期段階で診られ、けいれん発作に先行する形で現れます。成長してくると不整脈は消失する傾向があります。
治療
① コルチコトロピン(ACTH) 筋肉内注射
最も推奨されているのは、コルチコトロピン(ACTH)による初期治療です。 ACTHは最も確立された有効性がありますが、最適な投与量と治療期間は不明です。
ACTHを20〜30単位/日を筋肉内注射します(用量は体重で調整しません)。 2週間で治療反応を評価して、痙攣または頻脈性不整脈が続く場合は、用量を1日あたり40単位に増やします。
できれば脳波を診ながら薬剤を使用して治療反応を評価するのが理想的です。
ACTHは治療効果が得られた使用量を2週間使用して、そこから漸減を開始します。
別の方法としては、高用量のACTH 75 単位/dayを分2として筋肉内注射し、2週間 使用します。 その後は、3日間ずつ投与量を30、15、および10単位/day 分2 として漸減します。 その後は6日間、10単位/ day 分2を継続し、中止します。
治療を中止してもACTHの効果は持続しますが、最適な治療期間は不明です。
ACTHの副作用としては、一般的に、高血圧、過敏症、感染症、可逆性脳萎縮症、まれに敗血症による死亡などがあります。
② その他の治療
ACTHに反応しない場合は、次のような代替療法があります。
プレドニゾン
2 mg/kg/day 経口投与します。 治療期間は6週間です。
ビガバトリン
結節性硬化症をもつウエスト症候群の患者で特に有効です。
投与方法は、50 mg/kg/dayで開始します。 症状に応じて1日あたり100〜150 mg/kgに段階的に増加します。 有効性は、用量を変更してから2週間で評価します。 最適な治療期間は不明です。 治療効果があった場合は6か月間 薬を継続します。
重篤な副作用として網膜毒性があるため、眼科的評価とモニタリングが必要となります。
ケトン食療法
ACTHおよび他の治療法に不応性である子供たちに効果的です。
バルプロ酸、ニトラゼパム、ピリドキシン、ゾニサミド、トピラメート、その他の新しい治療法、または初期の併用療法などの有効性は証拠が不十分となっています。
乳児が治療の終了後に再発した場合は、有効であった薬剤を2コース目(4〜6週間)をを開始します。
予後
ウエスト症候群の全体的な予後は不良です。
死亡率は3〜30%と言われており、精神運動発達に障害をきたします。
レノックスガストー症候群
レノックス・ガストー症候群は、小児期に発症する難治性のてんかんです。 一般的には3-5歳で発症します。
日本では指定難病144に指定されていて、成人になっても、てんかん発作症状や精神発達遅滞が有すると言われています。
病因
病因はかなり多いです!
皮質奇形
腫瘍
神経皮膚症候群(結節性硬化症など)
低酸素性虚血性発作後の脳症
髄膜炎
頭部外傷 etc…
しかし、約40%が原因不明と言われています。
上で遺伝性と言いましたが、突然変異によって染色体に異常が起こることもあります。
臨床的特徴
レノックスガストー症候群を定義する基準はあいまいです。
しかし、診断に至るまでに3つの臨床的な特徴があります!
・ 強直性発作
・ 脱力発作
・ 非定型型欠神発作
・ ミオクローヌス発作 etc…
・ 2.5 Hz未満の遅い棘徐波を検出する
・ 「非定型スパイクと波」パターンとも呼ばれます
・ 精神遅滞を伴う
治療
前提として、レノックスガストー症候群の根本的な治療は現在も不明です。
薬剤療法
2013年に発表された研究では、治療に有効な薬剤はないと結論付けられていますが、可能性として、トピラメート、ルフィナミド、フェルバメート。およびクロバザムがおそらく役立つ可能性はあるだろうという見解もあります。また下記にあるように米国では一部の治療薬が有効であるとの研究報告もあります。
対照的に、カルバマゼピンは発作を増悪させると言われています。
研究報告①
レノックスガストー症候群の治療に関する研究内容の一部を紹介すると、この症候群をもつ217人の患者を4つのグループ:①プラセボ ②クロバザム0.25 mg/kg/day ③ 0.5 mg/kg/day ④ 1mg/kg/day にランダムに振り分けて行った無作為化試験を12週間追跡した研究にて。
それぞれの治療グループの患者の①32% ② 43% ③ 59% ④ 78%で自身がもつ発作の50%を超える減少が報告されました。
また別の試験では、高用量のクロバザム(1 mg / kg /day)は、低用量のクロバザム(0.25 mg / kg /day)と比較して、より多くの患者で50%以上差で自身の発作の減少をもたらしました(83%対38%)。
以上のことから、クロバザムは現在、米国で利用可能です。
研究報告②
また別の無作為化試験では、カンナビジオールが、発作の頻度を減らすことができるとわかりました。
この症候群をもつ225人の患者を3つのグループ:① 経口カンナビジオール20 mg/kg ② 10 mg/kg ③プラセボ にランダムに振り分けて、毎日2回に分けて投与し、14週間追跡した研究にて。
それぞれの治療グループの患者の① 42% ② 37% ③ 17%でで自身がもつ発作の50%を超える減少が報告されました。
また別の試験で171人の患者を対象とした14週間の無作為化試験では、カンナビジオール20 mg / kgが毎日 服用することは、プラセボと比較して優位に自身の発作症状を減少させました(44%対22%)
その他の治療
・ ケトン食療法
・ 迷走神経刺激
・ 脳外科的切除術
ミオクロニー失立発作てんかん
病態
病名にもある通り、ミオクロニー発作が起こった後に、筋緊張低下により転倒する発作症状を主体とします・・・が!転倒しなうミオクロニー発作や非典型欠伸、強直間代性発作など多彩な発作症状をきたします。
病因
病因としては、明らかな代謝異常や脳病変を伴わず、てんかんや熱性けいれんなどの家族歴を持つことが多いため、遺伝性の疾患と考えられています。
疫学
9歳までの小児のてんかんのうち1-2%を占めます。発病年齢は生後18-60ヶ月であり、約94%の患児が満15歳までに発病されるとされ、7歳以降の発病の報告はありません。約3:1の割合で男児に多いです。
発作様式
典型的な臨床所見では強直間代性発作が先行し、発病数ヶ月から数年を経てミオクロニー発作が出現する。
治療
バルプロ酸が第一選択
パルプロ酸とラモトリギンの併用が第二選択
その他、抗てんかん薬を様々な組み合わせで使用することがある。
予後
50-89%の症例で3年以内に発作症状は収束に向かうとされていますが、難治性な経過をたどるこもあります。
発病までの発達は約90%の症例でほぼ正常です。発病後の認知機能に関して、約58%で正常、20%で軽症、22%で重篤な発達遅延を示します。
ミオクロニー欠伸てんかん
11ヶ月から12歳(多くが7歳前後)の男児に多い。
両側性の強直要素をもつ律動的なミオクロニーを伴う欠伸発作でしばしば上肢が段付きに挙上する。
脳波で特徴的な発作である3Hz棘徐波がみられる
精神遅滞を合併し、難治な例もある
すみません!日本では難病指定(142)に指定されており、情報量が少ないです。
これにて小児のけいれん・てんかんについてのまとめは一旦おしまいです!
文字の羅列のようになってしまい、読みにくくなってしまってすみません😂
今後も、文章力がつくように頑張って行きます! また、こちらの記事も見やすくなるようにアップデートしていきます!
では、また :)
コメント
コメントはありません。