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小児のてんかん / てんかん”部分発作”まとめ!ローランドてんかんとは?

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小児 けいれん・てんかん まとめ⑤ ~"特発性"部分発作~

こんにちは! tamakiです:)

さて、今回から"てんかん"についてのまとめに入っていきたいと思います。

この記事を読む前に、総論をまとめた第一章を是非ご覧ください!理解が深まりやすいです:)

 

第四章 ~てんかん各論①~

部分発作の各論
“特発性”部分発作
・良性ローランドてんかん
・良性後頭葉てんかん
”症候性”部分発作
・側頭葉てんかん
・前頭葉てんかん
・頭頂葉てんかん
・後頭葉てんかん

 


 

部分発作の各論

部分発作とは"脳の一部が興奮している状態"でしたね。

 

今回はその中でもさらに、"特発性"のものと"症候性"のものにわけて解説していこうと思います。

 

 


 

"特発性"部分発作

特発性てんかん
・ 原因不明のてんかん。
・ 小児てんかん全体では特発性てんかんが多く、特に発病は生後から3歳までと学童期に起こりやすい。

 

上記の通り"特発性"とは"発作の根本的な原因がわからない てんかん"のことでしたね。

ここでは2つの特発性てんかんにフォーカスしていこうと思います。

 


 

良性ローランドてんかん:BECTS(ベクト)

良性ローランドてんかんとは、脳波の所見から、中心・側頭部に棘波(スパイク)を持つ良性小児てんかん(benign childhood epilepsy with centrotemporal spikes: BECT)のことです。

突然、呪文のような紹介をしてしまいました笑

てんかんは脳の電気信号の伝達に異常があるということは第一章でもお話しましたね?

その電気信号の異常な波をここでは"棘波(スパイク)"と呼んでいます。

このスパイクが頭の中心~側頭部の位置から出ており、脳の中心にある溝のことを"ローランド溝"と呼ぶため、"ローランドてんかん"と呼ばれています。

ローランドてんかんは、すべての小児てんかんの約10〜20%を占めており、小児のてんかんとして最も数が多いです

神経学的異常がなく、知的に正常であることが診断する上で必須となります。 予後は極めて良好で、99.8%は成人までに治癒する言われています。

病因

特発性というだけあって、ローランドてんかんの原因と思われる遺伝因子は解明されていません。 患者の4分の1が家族歴を持っていますが、双子のペアの中には片方だけにしか発現しないこともあるため、遺伝的要因ではないとの意見もあります。 いずれにしろはっきりしない部分が多いですね。

臨床症状

ローランドてんかんは、発達が正常な幼少期の子供に見られます。
発症年齢は3〜13歳で、発生率のピークは7〜9歳です。

一般的には思春期の頃には発作も脳波異常も自然に消失します。

時には、高年齢まで続くこともありますが、遅くとも18歳くらいまでには発作を起こさなくなると言われています。

発作様式
・ 口~顔面の片方に限局した運動症状(流艇、しゃべれないことが多い)
・ しかし、実際は1日に数回程度。目に見える発作は少ない
・ たまに全身性のけいれん(強直間代発作)が起こる
・ 意識障害はない(全身に広がってくると意識障害が出ることも)
・ 発作時間は1-2分
・ 発作の70%が入眠直後や寝起き前に起こる
・ 日常生活には概ね支障がない

 

上記の通り、ほとんどの発作が入眠前後で起こっているため、日常生活を送る中で発作が起こることは多くありません。 実際に発作が起こったとしても目に見えて発作が出ていることが少なく、頭痛や熱性けいれんの精査で脳波検査を行った時にたまたま見つかったということが多いそうです。

先程、"発達は正常"と言いましたが、最近の文献では、ローランドてんかんの子供は、軽度の認知障害、注意欠陥障害(ADHD)、気分障害、言語と学習困難に至る可能性があると言われています。 その理由としては病気そのもの影響というよりは、夜間に発作が起きることによる睡眠障害や抗けいれん薬を使用することが原因と考えられています

日中に起こらないのは良いですが、夜寝ている時に起こるということは貴重な睡眠時間が奪われてしまうことになるため、納得できますね。

診断

脳波で特徴的な波形が出るため、それで診断されます。

ここでは脳波について詳しい解説は割愛します。 また別途まとめようと思います。

ざっくり図解すると下記のような波形が中心・側頭葉・頭頂葉にかけて出現します。これを"ローランド発射と言います。

 

① 形態は二相性で "陰性の鋭波"とそれに続く"陽性の丸みのある鋭波"が出現する(振幅は負性の50%)
② 多くは二相性のあとに"陰性徐波"を伴う。
③ 初めに小さな陽性成分を伴うこともある。

 

治療

ほとんどが自然に治癒すること、また日常生活に支障をきたすことがないため、無治療のまま経過をみることが多いです。

日常生活にも支障をきたす際には抗てんかん薬の内服をすることがありますが、多くが単剤で十分です。日本ではカルバマゼピンが主に使用されています。(治療薬については第二章でまとめたものをこの章の終わりに貼っておきます。)

 


 

良性後頭葉てんかん:Panayiotopoulos症候群 / Gastaut症候群

小児の良性後頭葉てんかんは"パナイオトポーラス症候群"と"ガストー症候群"に分けることができます。 名前に"後頭葉"と書いてあるだけあって、脳波で後頭葉に棘波(スパイク)を認めます。

パナイオトポーラス症候群が大多数で、ガストー症候群が稀なタイプになります。 "良性"と書いてありますが、パナイオトポーラス症候群は予後は良好ですが、ガストー症候群の方は予後はあまりよくありません。

頻度としては
パナイオトポーラス症候群が小児てんかん全体の6-7%
ガストー症候群が小児てんかん全体の1%未満
となります。

 

このてんかんの最大の特徴は、特徴的な発作症状にあります。

それぞれの特徴を図にまとめましたので参照してください!

 

診断
脳波要点
・ 突発波はローランド発射に似ている。
・ 後頭部・頭頂部に突発波を認めることが多い。
・ 閉眼で突発波が頻発することが多い。

 

パナイオトポーラス症候群の10〜13%の患者は、ローランドてんかんも合併しています。 脳波の所見もローランド発射に似ている波形が多く出ています。

予後と治療

上でも言いましたが、パナイオトポーラス症候群は予後良好です。

発作自体も稀であり、患者のほぼ半数が人生で1回の発作しかありません。
だいたいが発症から2〜3年以内に自然に寛解します。

発作予防薬を使用する場合は、第一選択薬はカルバマゼピンが使用されます。 ほとんどの場合は単剤のみでコントロール良好です。発作が進行していない場合は、1〜2年以内に治療を中止することを推奨されています。

 


 

"症候性"部分発作

症候性部分発作は"原因がわかっている"部分発作でしたね!

ここでいう”原因”とはざっくりいうと下記のようなものがあります。

症候性てんかんの原因
・ 遺伝性
・ 代謝異常( 高熱、低Ca血症、低Na血症)
・ 脳外傷(脳震盪など)
・ 出生時、新生児仮死や低酸素脳症(虚血)
・ 感染症(髄膜炎、脳炎、敗血症)
・ 脳出血
・ 腫瘍

 

上記のような状態にさらされたことにより、脳にダメージを負ってしまい、傷がついたことで、電気信号の伝達に異常が生じてしまうわけですね。

実際に原因がわかっているため、症候性てんかんの場合は、脳波以外に頭部MRIやCTなどの画像検査で病変を見つけられることもあります。

しかし、これらの症候性てんかんは細分化することが難しく、様々な要因が混ざり合って症状をきたしていることが多いです。

脳は外から見えませんし、電気信号の流れなんて尚更なので仕方ない部分ですね。

ここで、症候性"部分発作"についてですが、こちらは小児よりも主に成人で多い疾患となります。
小児領域での症例報告は少なく、いわゆる小児科として頻度が多いものではありません。

なので、症候性"部分発作"に関してはここでは詳しく解説せずに、ザックリと紹介だけさせて頂きます。

側頭葉てんかん

側頭葉てんかんの主な病因は、側頭葉にある人間の記憶を司る”海馬”が硬質化してしまうことが原因と言われています。 これを海馬硬化症と言います。

海馬硬化症によって神経細胞が失われたり、萎縮したりします。

側頭葉が起源のてんかんでは、成人で最も一般的な病変になります。特に高齢者の場合はアルツハイマー型認知症など、海馬が起源となる病変が多いですよね。 そのイメージです。

小児の場合は、仮死状態で出生した子供に多い印象です。その他にも出生前後に脳内で起こった出血や、低酸素脳症、感染などによって神経発達が阻害されることが原因になります。

前頭葉てんかん

脳外科領域で、てんかん手術を受ける患者の約30%が前頭葉てんかんです。
原因には、外傷、腫瘍、血管奇形、脳炎、皮質異形成、遺伝性などがあります。

前頭葉発作の一般的な特徴は、発作時間が短時間であること(<30秒)、また睡眠中の発生することが多いと言われています。

 

頭頂葉てんかん

後頭葉てんかんは特に稀な疾患です。
腫瘍、血管奇形、および発達異常が原因となり、MRIの検査で特定されることが多いです。

後頭葉は視覚を司る神経領域なので、患者の約80%で視覚異常を認めます。発作前兆として点滅する光や白色または色のついた幻覚を見ることがあります。

後頭葉てんかん

頭頂葉から発生する発作はされに稀で、特徴が不十分です。原因としては腫瘍、血管奇形、および非特異的神経膠症などがあります。

 


 

最後に第二章でもまとめた抗てんかん薬のまとめを貼っておきます。

 

今回は以上です! 次回は全般発作についてまとめていきます!

では、また:)

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