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小児のけいれん / けいれん発作が起こったらどうする?”抗けいれん薬”と”抗てんかん薬” まとめ

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小児のけいれん / けいれん発作が起こったらどうする?”抗けいれん薬”と”抗てんかん薬” まとめ

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小児 けいれん・てんかん まとめ② ~診断・治療~

こんにちは! tamakiです:)

さて第二章の始まりです!今回は診断・治療についてまとめていきます!

第二章 ~診断・治療~

"けいれん"診断
小児神経の領域で用いられる薬
・ 抗けいれん薬と抗てんかん薬の違い
・ 急性期に使用される薬剤
・ 慢性期に使用される薬剤
抗けいれん薬(抗てんかん薬)の作用機序


診断

"てんかん"と診断するには十分な問診と、検査が必要となります。

診断
① 24時間以上の間隔で2回以上の非誘発性(または反復性)発作が生じる
② 脳波検査で異常が指摘される

難しいですね。

まず「非誘発性発作」とは明らかな誘因がない慢性疾患としての自発発作のことです。 逆に「誘発性発作」とは脳炎や外傷、脳血管障害、代謝異常などの急性の脳への侵襲によって発症する発作のことです。

“けいれん”なのか”てんかん”なのかを判断する一番大切なツールは『脳波』の検査になります。

第一章でも解説しましたが、てんかんは"脳の電気信号の異常"ですから、脳波を測定することが診断には必要になります。

特に、寝ている時の脳波の所見がとても重要となってきます。

その他にも脳の形態や外傷などを確認する目的で頭のCTやMRIを撮ることも診断に重要です。

検査
・ 脳波
・ 頭部CT・頭部MRI

脳波検査を行って、特徴的な波形を認めた場合はてんかん発作と診断することができます。

今回は脳波の波形の解説は割愛します。

小児神経の領域で用いられる薬

さて、いよいよ治療薬についてです。

そもそも”けいれん”はなぜ止めなければならないのでしょうか?

けいれん発作が、大脳からの異常電気信号が原因の場合は ほうっておくと、神経細胞が壊死してしまったり損傷してしまったり異常な神経回路ができあがってしまったりしまいます。


抗けいれん薬と抗てんかん薬の違い

まず抗けいれん薬と抗てんかん薬の違いとはなんでしょうか?

結論からいうと大きく違いはありません!

前回、けいれんと てんかんの違いについては説明しました。

ざっくりいうと
"けいれん"は勝手に筋肉が収縮運動を起こす
"てんかん"は大脳で電気信号の伝達が上手くいっていないこと
でしたね。

今回お話する治療薬はいずれも"神経系"に働いて、神経の電気信号の伝達をコントロールすることが目的となっています。

つまり、目の前で起こっている"けいれん"を止めるために薬を使用すれば"抗けいれん薬"と位置づけをしますし、今 目の前で けいれんは起こっていないけれども"てんかん発作"や"てんかんによる脳内の異常な電気信号"を抑え込む目的で薬を使用すれば"抗てんかん薬"と位置づけます。

少し難しいですね笑

ここで、注意しておいてほしいのは、"抗けいれん薬として用いられる薬"と"抗てんかん薬として用いられる薬"はそれぞれ用法・用量や適応疾患が異なりますので、両者は完全に"=(イコール)"ではないのです。

疾患毎に使用される薬を選定することが重要となります。

では、解説を進めていきますが、もう一つ注意してほしいのは”新生児”のけいれん発作(てんかん発作)に対する考え方は、通常の抗けいれん薬(抗てんかん薬)とは違ってくるため、今回 解説するのは乳幼児以上のお子さんが対象となります。


急性期に使用される薬剤

急性期に使用される薬剤は、”けいれん重責状態”に対する治療選択についてまとめていきます。

つまり、目の前で けいれんが起こりまくっている時にどうするかってことですね。

まずはわかりやすく、治療ステップを整理しておきましょう!

けいれん重責状態に対する治療選択肢
STEP1 :病院に着くまでに自宅でできること
STEP2:病院に着いてからの第一選択薬
STEP3:第一選択が効かなかった時の第二選択薬
STEP4:第二選択が効かなかった時(難治性)の第三選択薬
STEP5:それでもダメな時(超難治性)

STEP6:けいれんが止まったら入院させるかどうか

上記のステップにわけて解説をしていきます!

STEP1 :病院に着くまでに自宅でできること
けいれんの様子を動画で撮っておく
5分以上持続する場合は直ぐに救急要請する

まず、慣れていない親御さんの場合は、本当にそれがけいれんなのかどうか、判断することが難しいと思います。

なので、まずは冷静になって けいれんと思われる様子を動画に撮影しましょう。

病院に着いた頃には けいれん症状が治まっていたというのは良くあることなので、動画をみることで答え合わせができるようになります。

また、けいれんは"5分以上持続すると、自然に収束することは難しく、30分以上も持続し、遷延する状態に移行しやすい"と言われています。

そのため、5分以上持続している場合は動画を撮りながら(中断しても構いません)、救急車を呼びましょう。

「手持ちにダイアップ(座薬)があるのですか、使うべきですか?」

という質問を良く聞きます。

ダイアップは効果が出てくるのに"30分以上かかる"ので急性期の使用には推奨されていません。一般的には、けいれんが起こる前に”予防的”に用いられます。

同様の理由で抱水クロラール(エスクレ注腸キット)も現在起こっているけいれんを止めるために使用されることはありません。

STEP2:病院に着いてからの第一選択薬

けいれんの原因がどうであれ、病院に着いたときにけいれんが持続していた場合はまずけいれんを止めましょう!

① 点滴ルートが確保できる場合
第一選択としてミダゾラム or ジアゼパムの静注を行う
発作が収まらない時は5分後に同量を再投与する
血糖をチェックして、低血糖があればブドウ糖投与を行う

② 点滴ルートが確保できない場合
ミダゾラム筋肉内注射・鼻腔内・頬粘膜投与を行う
またはジアゼパム直腸内投与を行う。
*どちらも安全性・有効性ともに高いが保険適応外の使用

① 点滴ルートが確保できる場合

ミダゾラムとジアゼパムはどちらを使用しても良いです。 医療機関にある方を使用しましょう。 どちらも副作用として呼吸抑制があるため、呼吸・心電図モニター管理はしっかりと行いましょう。

薬剤の効果が"有効"であったかどうかの判定は"10-20分以内にけいれんが消失"したら有効と判断します。

また低血糖が原因でけいれんが起こっている場合もあるため、血糖チェックは必ず行いましょう。低血糖がある場合は下記のように対応します。

② 点滴ルートが確保できない場合

発作を止めるのに、ミダゾラムの非静脈性投与は、ジアゼパムの静脈投与と同等の効果・副作用であると言われている。

注意事項として、上でも話したが、ダイアップ(座薬)や抱水クロラール注腸(エスクレ注腸用キット)の使用は急性期の使用には用いられません。

STEP3:第一選択が効かなかった時の第二選択薬

さて、第一選択薬を使用したのにけいれんが止まらなかった場合に、次にどうするかです。

冷静になって次の手に移りましょう!

抗けいれん薬の第二選択薬
・ フェニトイン/ホスフェニトイン、フェノバルビタールを使用する
・ ミダゾラムの持続静注は推奨されていない

第二選択薬として使用される薬は下記のように使用します。

第一選択で使用されたミダゾラムですが、「1回目の使用で止まらなかった場合、5分後に再投与する」と言いましたが、これ以上の投与は効果が得られないことが多く、また持続投与することは推奨されません。素直に第二選択薬を使用しましょう!

フェニトイン/ホスフェニトインとフェノバルビタールのどちらが良いかという明確な回答はありません。どちらも緩徐に投与しなければならないため、即効性に欠けること、また半減期が長いため、持続性があります。

しかし、フェノバルビタールは過鎮静になることがあるため、その後の意識状態の把握が難しくなることがあります。したがって、意識レベルへの影響が少ないとされるフェニトイン/ホスフェニトインを使用を優先しても良いかもしれません。

STEP4:第二選択が効かなかった時(難治性)の第三選択薬

さて、第二選択薬が効かなかった場合はどうしましょう。ここからはICU管理が必要になってくるため、第二選択薬でけいれんを止められなかった場合は、より高度な医療機関への搬送等も考えなくてはなりません。

抗けいれん薬の第三選択薬
・ ミダゾラム or バルビツレートによる"昏睡療法"を行う
*昏睡療法を行う場合は脳波を同時に測定して行う

第二選択薬まで使用して けいれんを止められなかった場合は、抗けいれん薬をがっつりと使用して"昏睡状態"にしてしまうという治療方法をとります。

その場合は、いつ呼吸が止まってもおかしくないので、ICUに入院の上、呼吸、循環、脳波モニタリングで管理を行うことが必須となります。

ここでの治療のゴールは"発作のコントロール"、"脳保護"、"合併症の軽減"となります。

ミダゾラムの使用では脳波上の強い波形の消失または見た目上で けいれん発作が消失すればokとされています(ここが限界)。

バルビツレートの使用では、脳波上で細かい脳波の波形も込みで けいれんの波形を完全に抑え込む「バーストサプレッション」という状態にもっていくのが目標となります。

ちなみに成人では昏睡療法として全身麻酔などに使用される"プロポフォール"が使用されることがありますが、日本では小児への使用が禁忌となるのでなります!!

ミダゾラムとバルビツレートの優劣については以下の3点がわかっています。

バルビツレートを使用した場合、ミダゾラムと比較して
① 発作抑制効果が高い
② 循環抑制がつよい
③ 両者での神経学的予後の優劣は明らかなになっていない

バルビツレートを使用すると循環抑制が起こることがあるため、その際の対応策をまとめて起きましょう!


STEP5:それでもダメな時(超難治性)

ここまでくると、有効な治療方法はなく、手探りになってしまいます。

超難治性けいれん重積状態に対する介入
・ 推奨できる治療法はありません
・ ケタミン、吸入麻酔、抗てんかん薬、ステロイド・免疫療法、外科的治療、ケトン食療法、脳低温療法による症例報告がある

ここから先はより神経の専門の先生に診てもらった方がよいです。このブログでは解説しきれないので、深堀りはしません。

STEP6:けいれんが止まったら入院させるかどうか

さて、ここではけいれんが治まった時に家に返していいのか、入院させるのかどのように判断したら良いのかを考えていきます。

けいれんを起こした児の入院適応
① けいれん重責状態、けいれん群発がある場合
② 意識障害の遷延や新たな神経徴候がある場合
③ 頭蓋内圧亢進所見や髄膜刺激兆候がある場合や、呼吸・循環などの全身状態が不良な場合
④ 上記以外にも診察した医師が必要と判断した場合

上記の①-④を目安に入院させるかを考えましょう。

ちなみに無熱性けいれんの入院基準に対する高いエビデンスの論文はありません。

少なくとも、
"来院時にけいれんしていた(けいれん重積・群発があった"
"けいれん後に全身状態が悪い"
"1歳未満でのけいれん重積発作"
"急性脳症や脳炎などの症状がある"
などの場合は入院を検討しましょう!


慢性期に使用される薬剤

使用用途としては主に"抗てんかん薬"として使用されることが多いです。

つまり、今は けいれんなどの症状はないが、てんかんによる電気信号の異常を抑える目的で使用します。

ちなみに、これも勘違いされやすいですが、抗てんかん薬は"てんかんの治療薬ではありません"

脳の電気信号の異常は、なんらかの理由で"脳に傷がついている状態"なので、抗てんかん薬はあくまで発作が起こらないようにする"予防薬"という位置づけになります。

使用される薬は以下のようなものがあります。

上記の薬をどういう疾患で使うのかは、てんかんの診断内容や症状によって変わってきます。

また第三~四章で触れていこうと思います。


抗けいれん薬(抗てんかん薬)の作用機序

最後に抗けいれん薬、抗てんかん薬がどのように神経系に働いているのかを解説していきます。

大前提として、僕らの身体のあらゆる臓器は"脳から出る神経からの電気信号"により支配されています。

この時に必要となってくる知識は、神経は長い1本で全てが構成されているわけではなく、いくつもの神経細胞が連なってできているということです。

イメージ↓

そこで神経細胞から次の神経細胞へ情報を伝達しているわけですが、この情報伝達を止めるのが抗けいれん薬の役目となります!

薬がみえる vol.1より引用

抗てんかん薬の種類によってシナプス(神経)のどこに作用するのかが変わってきます。

気になる方は「抗てんかん薬の作用部位」についてより深堀りして勉強してみると良いと思います。


最後にスライドのまとめです。

これで第二章はおしまいです!

薬の投与量などが関わってくると理解するのに一苦労ですね。

次回から けいれんと てんかんの"各論"に入っていきますのでよろしくお願い致します!

では、また:)

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