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新生児 / 高K血症の治療 【GI療法の解説】

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新生児 / 高K血症の治療 【GI療法の解説】

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新生児の高K血症の治療 ~GI療法~

こんにちは!tamakiです:)

今回も研修医向けコンテンツとなります。

高K血症

新生児の高K血症の原因
どんな症状が出るか
治療 ~ GI療法 ~
・ 調剤のやりかた
・ 投与の仕方
・ 実際の投与例

 


 

高K血症の原因

腎臓からのK排泄障害(腎臓の未熟性、薬剤性、先天性アルドステロン欠乏症)
組織(赤血球など)破壊による細胞内Kの逸脱
非乏尿性高K血症

基本的に新生児でKが欠乏し、低K血症になることは多くありません

Kは細胞内に多量にあるため、短時間で不足~欠乏することはなく、低K血症は長期間にわたってKが投与されない場合か、Kの排泄を促す薬を使った場合に起こるからです。

腎臓からのKが排泄障害

腎臓では、近位尿細管~ヘンレのループにかけてKが約90%ほど再吸収されます。

そして、遠位尿細管~集合管にかけて約20%が排泄されています。

新生児の腎機能の未熟性があると、この”排泄機構”が上手く働かず高K血症をきたすことになります。

未熟性が原因なので、対症療法をしながら児の成長を待つことが治療になります。

Kはアルドステロンの働きにより腎臓で排泄が促進されます。

このアルドステロンの受容体に拮抗作用のある利尿薬を使用することでKの排泄が阻害され、高K血症のリスクが高まります。

利尿薬以外で、アルドステロンに拮抗作用がある薬剤はNSAIDs、ヘパリン、抗真菌薬(フルコナゾールなど)があります。

また先天的にアルドステロンが欠乏する副腎皮質過形成なども原因になります。

組織(RBCなど)破壊による細胞内Kの逸脱

これは僕ら医師が誰もが経験のあることではないでしょうか。

採血をするときに、手足をおもいっきり絞ってしまうと、赤血球が壊れて、中にあったKが多量に漏れ出てしまうパターンですね。

手技による影響が強いため、この場合は 血液検査を再検した方が良いでしょう。

非乏尿性高K血症

こちらは超低出生体重児の子が生後1-2日目に高K血症をきたす疾患です。

実は病態のメカニズムはまだ良くわかっていません。

説によれば、細胞膜のNa-K-ATPaseの活性が低いため、細胞内外のNaとKの濃度バランスを上手く保てないことが原因と考えられています。


どんな症状が出るか

高K血症は重篤な心不全をきたすリスクがあります。

Kは筋肉の収縮、弛緩に重要な働きをきたすため、高K血症をきたすと不整脈をきたし、最悪 心臓が停止します。

なので、心電図変化を捉えることが重要となります。

テント状T波( T波の先鋭化)
QRS幅の増大、 PR延長、 P波(-)


治療 ~GI療法~

新生児の高K血症の治療は、心電図異常があるか、ないかで治療方針が変わります。

また、心電図異常があってもなくても、血清カリウム ≧ 7mgEq/Lは緊急治療の対象になります。

心電図異常なし

K ≧ 6mgEq/L
・輸液からカリウムを抜く。
・フロセミド 1mg/kg
・ドパミン 2-3μg/kg/min

K ≧ 7mgEq/L
・GI療法:持続投与
・速効性インスリン 0.5〜1.0U/kg/day, G/I比=5-7で開始する
・GIR=5mg/kg/minから開始し血糖が落ち着くまでフォローする
・カリウム < 6mqEq/Lとなったら中止する。

 

心電図異常あり

① グルコン酸カルシウム(カルチコール®静注) ←心合併症を予防
1) 1-2ml/kgを注射用水で2倍希釈しゆっくり投与(徐脈に注意)
② アシドーシスの補正(メイロン®)
1) 1-2ml/kgを注射用水で2倍希釈しゆっくり投与
③ GI療法のOne shot療法
<One shot療法>
ヒューマリン 0.1U/kg + Glu 0.5g/kg (G/I比=5) 15-30分で投与

上記のようにまとめましたが、これも施設によって対応の仕方は変わってきます。

では、僕の施設ではGI療法を中心に治療をしていますので、GI療法の調剤の仕方から、投与方法などをまとめていきたいと思います。


高K血症の治療 ~ GI療法 ~

GI療法とはなにか。

GI = グルコース・インスリン のことです。

細胞はグルコースを細胞内に取り込む時に一緒にKのも取り込む作用があります。

GI療法この性質を利用してKを下げてしまおうという作戦です。

なので、グルコースと、グルコースを取り込むスイッチとなるインスリンを同時に投与するのがGI療法の根本となります。

調剤のやりかた

インスリンとして”速効性インスリン (ヒューマリンR 100 : 100 U/mL)”を使用します。

“U”とは単位のことです。 読み方も”たんい”と読みます。

インスリン1U = インスリン1単位と読んでいます。

小児用量

速効性インスリン (ヒューマリンR 100 : 100 U/mL) :0.5-1.0 U/kg/day

このヒューマリンR を、まずは100倍に希釈して 100U/mL → 1U/mL を作っていきます!

ヒューマリンR 1mLに注射用水を9mL加えて10倍希釈10U/1mL作る。
そこから1mLを抽出して、注射用水9mLを加えて100倍希釈1U/1mLを作る。

 

 

100倍希釈が出来上がったら、グルコース液と混ぜて調剤していきます。

ここでグルコースと調剤する前に、新たに”GIR”と”G/I”比という概念を理解しておきましょう!

GIRとG/I比

GIR (mg/kg/min) = glucose infusion rate :糖注入率 です。 糖が体外からどれくらい注入されるかを表しています。

計算式は下記のようになります。

上の式を簡便にした”あんちょこ式”があります。↓

GIR = 糖濃度(%) × 輸液投与速度(ml/he) / 6 × 体重(kg)

 

次にG/I比ですが、単純に投与するグルコース量をインスリンの単位で割った値です。

G/I = グルコース(g) / インスリン(U)

 

グルコースの量はGIRの式が出ているなら、その式を組み替えることで簡単に割り出すことができます。

グルコース(g) = GIR × 60 × 24 / 1000 = GIR ×1.44

 

GI療法を行う時はGIRとG/I比と下記のように設定して行います!

GIR=5〜7で調整
G/I比=5-10で調整

 

ではここまで、解説できたので調剤の仕方にいきます!

グルコースとインスリンの調剤

薬剤調整の仕方

GI療法:GIR=5〜7で調整。 G/I比=5-10で調整。
WQを設定する。(輸液は計40mLに調整する)
ヒューマリンR(100倍希釈)の量を設定する。大体0.6 mlくらいから計算する。
GIRを5〜7くらいに設定する。糖濃度は15%くらいがベスト。
G/I比5〜10に設定するが、G/I比はある程度高くてもok。(12-14くらい)
G/I比のG=g/kg/hr=1.44×GIR。

 

 

僕の病院ではK ≧ 7 mgEq/Lで治療介入して、 K < 6 mgEq/Lで治療介入を中止しています。

では調剤のやりかたがわかったところで実践に移りましょう!

GI療法 実践編

i) 1300g WQ=60で調整例
20%Glu 30mL 注射用水 9mL 100倍希釈ヒューマリンR 0.6mL (計約40mL)
速度3.3ml/hr(WQ=60.9) インスリン0.9U/kg/day GIR=6.3 G/I比=10

ii) 2000g WQ=70で調剤例
20%Glu 30mL 注射用水 9mL 100希釈ヒューマリンR 0.5mL (計約40mL)
速度 5.8ml/hr(WQ=69.6) インスリン0.87 U/kg/day GIR=7.25 G/I比=12

iii) 2000g WQ=70で調剤例
10%Glu 50mL 100希釈ヒューマリンR 0.6mL (計約50mL)
速度 5.8ml/hr(WQ=69.6) インスリン0.83 U/kg/day GIR=4.8 G/I比=8.3
→ これだとGIRが低い。最低5はほしい。糖濃度はだから15%くらいがベスト!

→ 作り直すと・・・
15%Glu 50mL 100希釈ヒューマリンR 0.6mL (計約50mL)
速度 5.8ml/hr(WQ=69.6) インスリン0.83 U/kg/day GIR=7.25 G/I比=12.5


以上です! この記事はもう少しアップデートしようと思っています。

では、また:)