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小児の輸液 / 脱水の評価方法と輸液量の設定

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小児の輸液 / 脱水の評価方法と輸液量の設定

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小児科の輸液 / ~脱水の評価方法と輸液量の設定~

こんにちは! tamakiです:)

小児の嘔吐・下痢症状などで起こる"脱水"時に使用する輸液について解説します。

脱水を治療するために必要な工程は以下の3段階に分かれます。

  • 脱水の程度の評価
  • 血液内のNa濃度の評価
  • 輸液量の設定

では、上記について解説していきます。

 


 

脱水の程度の評価

小児の脱水がどれほどのものかを評価するには下記のようなスケールを用います。 これを使って脱水の重症度を予測します。

重症度がわかったら、次は脱水を治療するために以下の2つを推測しましょう。

  • 喪失水分量 = どれだけ水分を損失しているのか
  • 維持水分量 = 体内循環を維持するために必要な水分量がどれくらいか

計算式は下記のようになります。

  • 喪失水分量(ml): 体重(kg)×体重減少率(%)
  • 維持水分量(ml): HollidayとSegarの報告より
    ・体重10kg未満 100×体重(kg)
    ・体重10-20kg  1000+(体重-10)×50
    ・体重20kg以上 1500+(体重-20)×20

Holliday&Segarの維持水分量は多すぎるという見解もあり、ここで求めた値を2/3にして使用することもあります!

まとめ・ 脱水の重症度から何%脱水にあたるのかを推定する。
・ 治療や評価に必要な水分量を設定する。

 


 

血液内のNa濃度の評価

Naは水分を体内の水分を管理する上で非常に重要な要素となります。

脱水症においてはNaの濃度を評価することで脱水症の"タイプ"がわかります。

  • 等張性 (130-150mEq/L) :細胞外液の脱水 ←ほとんどこれ
  • 高張性 (>150mEq/L) :細胞内液の脱水 ←5%ほど
  • 低張性 (<130mEq/L) :細胞外液の脱水 ←稀

高張性と低張性の脱水の場合は、脱水の程度に関わらず症状が出にくいため軽症に診られることが多いので注意が必要です。

脱水症の"タイプ"がわかったら喪失したNaの量を推定していきましょう。

  • 喪失Na量(mEq)
    ・ 等張性 : 140 × 喪失水分量(L)
    ・ 高張性 : 140 × (喪失水分量(L) - ①喪失自由水量(L))
    ・ 低張性 : 140 × 喪失水分量(L) + ②自由水貯留による相対的な喪失Na量(mEq)
    ① = 現在のNa濃度(mEq/L)/(目標血清Na濃度(mEq/L)-1)× ③現在の体内水分量
    ② = 目標Na濃度(mEq/L)-現在のNa濃度(mEq/L)× ③現在の体内の水分量
    ③ = 現在の体内水分量 = 現在の体重 × 0.6
まとめ・ Na濃度から脱水の"タイプ"を推測する
・ 喪失したNa量を算出する

脱水において高Na血症なのか、低Na血症なのかを評価して治療を行うことは重要ですが、今回の輸液の設定は一般的な"等張性"の場合においての輸液治療を解説していきます。

 


 

輸液量の設定

必要な情報が揃ったら、いよいよ輸液量の設定に入ります。

脱水を補正するのに必要な水分量は下記のように推定します。

予定輸液量 = 喪失水分量の1/2 + 維持水分量

予定輸液量はだいたい24時間かけて補正していきます。

輸液内容としては3段階に分けて補正を行います。

  • 急速初期輸液 :循環不全を治す目的
  • 緩速均等輸液 : 細胞内脱水を治す目的
  • 維持輸液 : 経口摂取ができるようになるまでのつなぎ
    維持水分量 ≠ 維持輸液

予定輸液量として急速初期輸液~緩速均等輸液をだいたい24時間で投与します。その後は、経口摂取が可能になるまでのつなぎとして維持輸液を投与します。維持輸液が開始できる頃には尿量をもある程度 出ていて、経口摂取もできている頃合いだと思います。経口摂取量に応じて点滴量も適宜 減らしていきましょう。

ではそれぞれの段階について解説していきます。

①初期輸液

  • 細胞外補充液・1号液(開始液)を使う。
  • 10~20mL/kg/h で輸液を開始する。
  • 2回 排尿があった時点で初期段階はクリア。

初期輸液の輸液製剤としては、血清の電解質組成に近いものを使用します。
→ 血清の電解質濃度: Na濃度90-154mEq/L K濃度0-4mEq/L

投与速度10-20ml/kgの体重毎の目安
・10kg以下 100ml/h
・10-20kg 200ml/h
・20-30kg 300ml/h
・30-40kg 400ml/h

②緩速均等輸液

  • 輸液量=予定輸液量-初期輸液量
  • 2号液(脱水補給液)、3号液(維持輸液)を使う
  • 投与時間:24h-初期輸液投与に要した時間

③維持輸液

  • 経口摂取できるようになるまでのつなぎ。
  • 3号液(維持輸液)を使う
  • 維持輸液には2パターン投与方法が2パターンあり。

A:緩速均等輸液の内容を3号液に変更してそのまま緩徐に減量していく。
→ 経口補水が可能であれば併せて行う。

B:損失水分量の1/4+維持輸液を投与。
→ 例:投与量=800/4+800=1000mL

基本的にはパターンAで良いです。Bの方法をとるよりも簡便で経口補水に切り替えていきやすいからです。

まとめ・予定輸液量を推定する
・急速初期輸液~緩速均等輸液をだいたい24時間で投与する
・経口摂取が十分に可能のなるまで維持輸液を継続する

 


 

実践編

上記のまとめ内容を参考に8kgの子供に10%脱水がある場合を想定しましょう。

EX.1・ 喪失水分量 = 8(kg) ×10/100(%) = 800mL
・ 維持水分量 = 8(kg) × 100 = 800mL
・ 喪失Na量 = 0.8(L) × 140 = 112mEq
・ 予定輸液量 = 400(mL) + 800(mL) = 1200mL

① 初期輸液

  • ソリタT1を選択 (Na 90 mEq/L)
    10ml×8kg= 80ml/hで開始。
    → 6時間後に2回目の排尿があり。
    → 初期段階クリア。
    → 80ml×6h=480mLが入った。
  • 投与Na量= 90×0.48(L)=43mEq

② 緩速均等輸液

  • ソリタT2に変更 (Na 84 mEq/L)
  • 輸液量:1200mL-480mL(①) = 720mL
  • 投与時間:24時間-6時間(①) = 18時間

→ 緩速均等輸液の速度=720/18 = 40ml/h

  • 投与Na量= 84× 0.96= 80mEq
・ 24時間かけて ①+②=160+960 =1120mLの補正が完了した。
・ Naは43+80=123mEqが補正された。

③ 維持輸液

  • ソルデム3Aに変更
  • 尿量もついており、経口補水も開始した。
  • 輸液速度 40ml/h から徐々に漸減を開始した。

以上のような流れになればいいかなと思います。

 


 

実践編2

施設によっては、上記の計算を もう少し簡便にしている施設もあります。今回も8kgの子供に10%脱水ある場合を想定してみます。また今回は維持水分量を2/3にして計算してみます。

  • 1号液200-500mLを体重×10-20ml/hで開始。
  • 投与が終わったら、維持輸液に切り替えて下記の計算式を元に投与速度を計算。

・ 10kg未満 : 4×体重
・ 10-20kg : 40+体重の1の位×2
・ 20kg以上 : 60+体重の1の位

Ex.2・ 喪失水分量 = 8(kg) ×10/100(%) = 800mL
・ 維持水分量 = 8(kg) × 100 × 2/3 ≒ 530mL
・ 予定輸液量 = 400(mL) + 530(mL) = 930mL
  • ソリタT1を500mL使用し、8(kg)×10=80ml/hで開始。
    → 6時間ちょいで500mLを入れきる。
  • ソルデム3Aに切り替えて、4×8(kg)=32ml/hで開始。
    → だいたい13時間くらいで予定輸液量が補正できる。

 


実践編3

さらに簡便化したものがWHOが提唱している。重症脱水の時に"とりあえずこれをやっとけ!"っていうものが下記の通りになります。勿論しっかりと評価をした上で補液をすることが重要です。

 

上の表の通りに100ml/kgの乳酸リンゲル液(なければ生理食塩液)を経静脈投与します。経口摂取が可能であれば輸液準備の間に経口補水も開始します。

 


 

今回は以上です!

前回の新生児の輸液に続き、小児の脱水時の輸液についてまとめられたかなと思います。

小児の輸液に関しては正解はありません。どうしても間隔に寄ってしまうところはありますが、今回の解説が一つ手がかりになればと思います。

では、また:)

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