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新生児 / 代謝性アシドーシスの治療 【BEの解説とメイロン補正のやり方】

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新生児 / 代謝性アシドーシスの治療  【BEの解説とメイロン補正のやり方】

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新生児 代謝性アシドーシス ~ BEの解説とメイロン補正~

こんにちは!tamakiです:)

今回は研修医向けコンテンツとなります。

今回は新たに新生児の分野について踏み込んで解説していきます。

新生児 代謝性アシドーシス

新生児の代謝性アシドーシスの原因
BE=Base Excessってなに?
治療:メイロン補正とは
メイロン調剤の仕方
メイロン投与の実例

 


原因

まず、代謝性アシドーシスを理解する上で最低限 知っておいてほしいことは以下の通りです。

H+ が増える → 酸性に傾く
CO2が増える → 酸性に傾く
重炭酸イオン(HCO3-)が増える → 塩基性に傾く

とりあえず、これが基本になってくるので頭にいれておいてください。

では、原因についてまとめてみましょう!

新生児は生理的にアシドーシスをきたしやすい

新生児は、各臓器の発達が未熟であるため、生理的に様々な障害をきたしやすくなっています。

例えば、肝臓が未熟であれば新生児黄疸の原因になるし、肺が未熟であれば一過性多呼吸や呼吸窮迫症候群をきたすなどです。

新生児はなぜ代謝性アシドーシスになるのか、それは主に"腎臓の未熟性"が関与しています。

新生児が生理的にアシドーシスをきたしやすい原因をまとめてみましょう。

新生児がアシドーシスをきたしやすい原因

① 腎臓の未熟性
HCO3-の再吸収能が悪い
H+、NH4+、その他の滴定酸の排泄率が悪い
② 急速な発育に伴う酸の酸性増加
蛋白代謝に伴う有機酸の酸性
骨代謝に伴うH+の酸性
③ 細胞外液が多いために起こるみかけ上の代謝性アシドーシス

それではひとつひとつ解説してきましょう。

① 腎臓の未熟性

新生児は腎臓の発達が未熟なため、塩基性イオンであるHCO3-の再吸収率が悪いです。

腎臓はイオンやグルコース・アミノ酸など、物質の再吸収のほとんどを近位尿細管で行っています。

実にNa+ 70%、 Cl 70%、 K+ 70% 、 P 80%、Ca 80%、 水 70% グルコース・アミノ酸 100%、尿酸100%などなど。

肝心となるHCO3-は90%が再吸収されています。

ここまで言えば、想像できると思いますが、この再吸収率が悪いということは、HCO3-が再吸収されずに体外へ出ていってしまうんですね。

つまり、血中のHCO3-が減る→酸性へ傾くということです。

逆にアシドーシスで重要になってくるH+は尿細管の各部位で逆に排泄されるものなので、この排泄がうまくいかないということは血中のH+が増加してしまうわけです。

② 急速な発育に伴う酸の酸性増加

新生児で日齢5あたりに必ず行う検査ってありますよね?

そうです。 "タンデマス試験(ガスリー法)" です。

あれをやる理由の一つがアシドーシスの原因・精査となります。

赤ちゃんがミルクを代謝してエネルギーに変換する過程がうまく行かない場合、有機酸が蓄積して代謝性アシドーシスをきたす原因になります。

また身体が大きくなるときに骨の破壊と再形成が行われますが、その過程でH+が産生されます。

画像:東京マイクロスコープ顕微鏡歯科☆オーラルハイジニストさんより拝借

③ 細胞外液が多いために起こる みかけ上の代謝性アシドーシス

新生児は身体の水分量が多いです。実に70-75%が水分と言われています。

ですから、必然と間質液が多くなります。

急速にCO2が上昇すると体内では酸塩基平衡式に現されるように、下記のような変化を起こします。

ここで発生したHCO3-は容易に間質液に拡散していきますが、H+はタンパク質や赤血球と結びついて血管内に留まります。

すると血液中の成分が見かけ上 " H+ > HCO3- "となるため みかけ上のアシドーシスとなるわけです。


BE = Base Excessってなに?

ここでもう一つ、代謝性アシドーシスになると困ること、そしてこの先に重要になってくる"BE = Base Excess"について整理しておきましょう。

代謝性アシドーシスは心機能不良、不整脈、肺高血圧などのリスク。
BE = Base Excessとは不足塩基量のこと。
不足塩基量とは、血液1Lを37℃下でO2で飽和して、それをPco2:40mmHgのもとで、強酸で滴定していったときに、pHを7.40まで戻すのに使った酸の量のこと(必要な酸の量=不足していた塩基の量)。

BE = Base Excess・・・わかりにくい概念ですね笑

ざっくりいうと、身体が酸性に傾いているのでそれを正常に戻すの必要な塩基の量がどれくらいですかってことです!

代謝性アシドーシスの治療とは"酸が多いため、HCO3-を入れてpHを補正する"のが目的です!

BEが負の値であれば血液のpHが低いことを意味しています。

PCO2が呼吸性因子を表わすのに対し、BEは代謝性の因子を表わします。

つまりPCO2が増えてアシドーシスなら呼吸性アシドーシスBEが大きくてアシドーシスなら代謝性アシドーシスです!

BEの正常値は0±2.5mEq/Lとなります!

治療:メイロン補正とは

さて、いよいよ治療です。

新生児ではpH < 7.25 で代謝性アシドーシスとして治療介入を行います。

成人でも利用されることが多いですが、新生児の代謝性アシドーシスの治療にはメイロン補正を行います!

メイロン=NaHCO3とは、ざっくりいうと濃度の高い”塩基”です。

血液が酸性に傾いているので、塩基で中和してやろうって算段です。

ただしメイロンはかなり濃度の高い塩基物質なので使用する際には厳密な計算が必要となってきます。

この計算部分が難しくて、ちんぷんかんぷんになる研修医の方が多いので、わかりやすく解説していきます。

まずメイロンの使用上の注意を整理しましょう。

メイロン(=NaHCO3 )使用上の注意

メイロンは単独ルートで行う!混在禁止!
メイロンを投与する時は呼吸状態が安定しているのが前提!
→ HCO3- + H+ = H20 + CO2 となるためCO2貯留する。
→ 呼吸状態が安定していないとCO2貯留を助長してしまう!
Naも多量に補正されるため、高Na血症に注意!
緩徐に投与しないと頭蓋内出血のリスクがあがる。
→ 1mEq/分以下で投与!

結構多いですが、大切なことなので投与する前にしっかりと確認しましょう。

では投与量についてです。こちらは施設によって若干異なります。

まずメイロンは規格が大きく分けて2種類あります。

8.4% メイロン(NaHCO3) (Na:1000 mEq/L, HCO3-:1000 mEq/L)
7% メイロン(NaHCO3) (Na: 840 mEq/L, HCO3-: 840 mEq/L)

NaとHCO3の濃度が違うんですね。 なので、どちらを使うかでこの濃度を調整する必要があります。

メイロンの本質は、不足した塩基量(BE)を補充することにあります。

なのでBEの値から補正するメイロンの量を計算していきます!

 

必要な塩基量(mEq)= BE × 体重(kg) × 0.3

上記の式で必要な塩基量を算出します。

次に必要なメイロンの量を算出します。

まずメイロンのNaとHCO3の濃度を少し書き換えましょう。

8.4% メイロン(NaHCO3) (Na:1000 mEq/L, HCO3-:1000 mEq/L)
7% メイロン(NaHCO3) (Na: 840 mEq/L, HCO3-: 840 mEq/L)

8.4% メイロン = Na:1 mEq/mL, HCO3-: 1 mEq/mL)
7% メイロン = Na:0.84mEq/mL, HCO3-:0.84 mEq/mL)

L (リットル)→ mL(ミリリットル) に変えただけですね。

メイロンの補正量(mL)は下記のようになります。

メイロン補正量(フルコレクト)

8.4%メイロン(mL) = 必要な塩基量(mEq) / 1 mEq/mL
7%メイロン(mL) = 必要な塩基量(mEq) / 0.84 mEq/mL

これで必要なメイロンの補正量がわかりましたね!

上記のメイロン補正量は”フル補正(コレクト)”と言います。

教科書的には、これを半分にした”ハーフ補正(コレクト)”という言葉がよく出ていますが、単純に上の式を1/2したものが“ハーフ補正”となります!

メイロン補正量(ハーフコレクト)

8.4%メイロン(mL) = 必要な塩基量(mEq) / 1 mEq/mL / 1/2
7%メイロン(mL) = 必要な塩基量(mEq) / 0.84 mEq/mL / 1/2

後で、実際に計算した例も出しますのでそこで練習しましょう!

では、次にメイロンの調剤にうつります!

メイロン調剤の仕方

下記のように薬剤を調整し、投与していきます。

調剤の仕方は施設によって様々ですが、希釈は教科書等でよく書かれている2倍希釈(ハーフ)でも良いです!

上記の通り、僕の施設では5倍希釈くらいでの使用しております。

なぜなら 5倍希釈でも Na 200mEq/Lが投与されることになりますが、生理食塩水の Na:154mEq/Lと比較しても、5倍希釈のNa濃度は十分高いからです → 高Naは脳出血のリスク

メイロンを中止するタイミングはpHとBEの改善が確認できれば中止します!

メイロン投与の実例

では実際にいくつか例を出してメイロン補正を行っていきましょう!

i) 体重 2000g BE= -9.5 (8.4% メイロン(NaHCO3)使用時)
・ 不足塩基量NaHCO3(mEq)a= 9.5 × 2 × 0.3 = 5.7
・ 8.4%メイロン 4mL + 注射用水 16mL (計20mL) 5倍希釈を用意
・ 投与速度= 5.7/(4/20×24(=4.8))=1.18
→ 速度1.2mL/h :24時間で5.76補正(フル補正)される計算です。
→ 投与開始12時間くらいでハーフ補正される予想。12時間でガスチェック。

ⅱ) 体重 1200g BE= -10 (8.4% メイロン(NaHCO3)使用時)
・ 不足塩基量NaHCO3(mEq)a= 10 × 1.2 × 0.3 = 3.6
・ 8.4%メイロン 4mL + 注射用水 16mL (計20mL) 5倍希釈
・ 投与速度= 3.6/4.8= 0.75
→ 速度 0.7mL/h :24時間で3.4補正(フル補正に少し足りないくらい)される。
→ 投与開始12時間くらいにガスチェック。

ⅲ) 体重 1500g BE= -12 (7% メイロン(NaHCO3)使用時)
・ 不足塩基量NaHCO3(mEq)a= 12 × 1.5 × 0.3 / 0.84 = 6.4
・ 7%メイロン 4mL + 注射用水 16mL (計20mL) 5倍希釈
・ 投与速度= 6.4/4.8= 1.33
→ 速度 1.3mL/h :24時間で6.24補正(フルに少し足りないくらい)される。
→ 投与開始12時間くらいにガスチェック。

 


 

今回は以上です!

調剤~実際の投与例の部分は施設によって変わってくる部分が多いと思いますが、代謝性アシドーシスの原因や治療への流れについての理解が深まれば幸いです。

では、また:)

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